児童相談所での一時保護における代理人活動

近年、児童虐待が社会問題化して、虐待が疑われる事案において、児童相談所が要保護児童を一時保護することが増加しています。

 

一時保護は、裁判所の審査が不要であり、虐待があった確固たる証拠がなくても、虐待が疑われる場合には、児童相談所長の判断のみですることができます。この制度自体は、児童を虐待被害から守るために必要な制度なのですが、我が子を家庭から引き離される側に立つ親権者にとっては、必ずしも納得できる判断がされるとは限りません。

 

一時保護がされたケースについては、その後、親権者と児童相談所とが家庭復帰や児童養護施設への入所等に向けて協議をすることになりますが、児童福祉法の制度がわかりにくいこと、親権者にとっては「子どもを奪われた」児童相談所と協議する形となるため、協議がうまくできないケースも多いです。

 

一時保護の期間は2か月ですが、児童相談所長が延長する必要があると判断した場合には、家庭裁判所に申し立てて許可をもらう必要があります。また、親権者のもとに戻さず、児童養護施設等へ入所させる必要があると判断した場合に、親権者が児童養護施設等へ入所させることに同意しない時は、家庭裁判所に申し立てて許可をもらう必要があります。

 

このように、一時保護そのものは裁判所の関与なく行われますが、その後の児童の措置については、家庭裁判所での審判で争われる場合があります。また、親権者と児童相談所との協議においても、専門的知識がある代理人を選任したうえで協議したほうが円滑に進めることができます。

 

以上のような理由で、児童相談所に一時保護されたケースにおいて、親権者が弁護士を代理人に選任して、児童相談所との協議、家庭裁判所での審判に臨むケースが増えています。やまびこ法律事務所においても、児童相談所に一時保護されたケースについて、ご相談いただければ、お子様の最善の利益を一緒に考えて、代理人活動をしたいと考えています。